TĔLOPLAN 23AW PRODUCT STORIES

TĔLOPLAN AUTUMN WINTER 2023 PRODUCT STORIES
/ FROCKED LACE FABRIC

23AW collectionのClyde Cami Dress、Clyde Dress、Tavish Bodysuits には、TĔLOPLANが制作したレース生地が使用されています。

「生地を作ることもデザインの一つ。」

そんなTĔLOPLANのデザイナー、Lin Liの哲学が落とし込まれている美しいレース生地のお話です。

新たなシーズンに取り掛かる少し前、 Linは旅に出かける。

「服がどんな場所で、どんな過程を経て作られているのか、ものづくりの現場について理解を深めることはデザイナーのみならず、ものづくりに携わる全て人間にとって大切なこと。」という彼女の考えから、できる限り日本の工場をめぐり、自身の目で生産背景を確かめるためです。

古くから日本では、その土地に自生した植物から繊維を作り、芭蕉布、しな布、葛布、真綿など、各地で風土に根差した多様な布を作り出してきました。Lin Liが京都府 丹後地方へ赴くきっかけになったのも、「藤布」という地場の布に深く触れるため。

この旅では、京都・奈良にある工場、伊根の舟屋(京都府)や天川村(奈良県)を巡りました。

道中で触れた自然と乖離しない人々の生活が23AW collectionのシーズンコンセプト『原風景』のインスピレーションとなっています。

旅のなかで、一軒の加工屋さんに出会った。

立ち寄ったのは、京都パイル繊維工業という創業60年を超えるフロック加工技術をはじめとした特殊加工技術を持った工場。

フロック技術とは、接着剤を塗った布の表面に、繊維(フロック)を静電気や機械的振動などを使って直立させた状態で植毛する加工のことです。

とてつもなく長く、繊細な原料をミリ単位で裁断して作られるフロックは、もちろん機械で裁断されるものの、機械のセッティングや裁断後の梱包などには人の手が加わります。

細かい繊維を扱うため、粉塵を吸い込んでしまうことも多く、工員の方々は手洗い場で喉をすすいだりしながら、それでも丹精を込めて作業します。

この加工によって、真冬の葉についた霜のような美しい毛羽が生み出されます。

フロック加工はテクスチャーの魅力だけでなく、保温・断熱効果があるため、秋冬の衣服に相性が良い加工の一つ。

また、防音効果もある素材という点から着想し、自然の静寂や都会の喧騒から離れることで聞こえる声音の表現として、23AW collectionに採用されました。

旅先で出会った草花に想いを馳せて。

ベースになるレース生地に選んだのは、大判の草木柄。

原風景をテーマにした23AW collectionの雰囲気を思わせます。

Clyde Dressは襟に高さのあるインナーを重ねてエレガントに。Clyde Cami Dressはロングワンピースと合わせて。Tavish Bodysuitsは、クロップドトップを上に重ねてレースを嗜む。

細かい花模様ではなく、大判の草木柄を選ぶことで、TĔLOPLANらしい甘さのないセンシュアルなレースアイテムに仕上がりました。