TĔLOPLAN PRODUCT STORIES: DOLMA SERIES

TĔLOPLAN PRODUCT STORIES: DOLMA SERIES

―― 巡礼の記憶と、道のレイヤーを纏って


終わりなき風景と、布になる記憶

チベット・ポタラ宮へと続く、終わりなき巡礼の道。
かつて五体投地で巡られたその大河沿いの風景を辿りながら、25S/Sの「Dolma」シリーズ。
曼荼羅模様、高山植物、そして不在という存在。
道中で見たもの、感じたこと、揺らいだ思考が、布となり、かたちとなり、そっと織り込まれています。


Dolma”という名前に込めた、
静けさと気配

TĔLOPLANでは、インスピレーションの地に由来する人名をコレクション名に選んでいます。
今季はチベット。「Dolma(ドルマ)」は観音菩薩に由来し、多くの女性に親しまれている名。
その音の中に、出会った風景や人々のたたずまいが、静かに溶け込んでいきました。


曼荼羅の構造と、記憶を編む
オリジナルファブリック

Dolmaシリーズで用いた生地は、北陸・福井県で丁寧に織り上げた完全オリジナルです。
東洋の宗教的シンボルである曼荼羅をベースに、道中で目にした4種の高山植物を東西南北に配置。24cmという大きなリピート柄により、一枚の布がひとつの世界のような構成に。チュールとジャガードの重なりが奥行きを生み、柄にはウーリー糸による立体的な表現が施されています。
繊細な見た目と大胆な構造──静けさと動きの交錯が、旅の感覚を想起させます。


生地が先に語り出す。
そこから導かれた衣服たち

Dolmaシリーズでは、生地の声に耳を澄ませながら、都市に生きる女性たちの姿を思い浮かべてデザインが進められました。
柄を活かすシンプルなロングスリーブのDolma Topは一枚で印象的な存在に。Dolma Layered Wrap Skirtはパンツスタイルの多い彼女たちの日常に、柔らかな違和感を添えるように。Dolma Dressはフォーマルにも、レイヤードスタイルにも使える特別な一着。
光を受けて柄が浮かび上がり、身体の動きに合わせて揺れる──静かな表情を持った布たちです。


“不在”という存在感と、
矛盾を抱くまなざし

かつて五体投地で人々が歩んだ道。いまは巡礼者の姿もまばらで、信仰と観光が交錯するチベットの街並み。ジョカン寺の八角街では、チベット語とマンダリンが交互に掲げられ、どこにも属しきれない空気が漂っていました。
「行き着くことはできても、不在を感じずにはいられない場所。」
TELOPLANデザイナーLinはそう語ります。
高山に佇む聖域という観光地。不在の存在──そう名づけたくなる空気。
それら相反するものをひとつに見つめようとする、そのまなざしが、このシリーズの起点となりました。


都市を生きる私たちの、
静かな芯としての服

日々の営みに、この布がそっと重なることで、都市を生きる私たちの足元に、見えない道が描かれるように。
Dolmaシリーズのアイテムは、視覚的な美しさだけでなく、内側に確かな構造と芯を備えています。
大胆なモチーフを調和させるために、柄の配置から裁断の向きに至るまで、緻密に設計されました。
繊細で透け感のあるファブリックは、肌に触れたときの軽やかさと、奥にある意志のようなものを感じさせてくれます。
派手さではなく、深く静かな存在感。
Dolmaシリーズは、都市の中で揺るがずに生きようとする私たちの感性に寄り添うための衣服です。